東京メトロには八つの路線があります。このうち、相互接続をしていないのは、日比谷線と半蔵門線および、日比谷線と南北線のみです。他の路線は、とりあえずお互いに接続する駅があります。
 その数少ない例外であるこの日比谷線と半蔵門線・南北線ですが、実は、車両同士なら同一ホームでの乗り換えが可能です。日比谷線と半蔵門線は東武伊勢崎線の北千住-東武動物公園間で、日比谷線と南北線は東急の田園調布-武蔵小杉間で、いずれも複々線を併走します。もしかして、乗り入れ後に併走するから、という理由で、東京メトロ内では交差する地点があるにも関わらず、あえて接続駅の設定・作成をしなかったのでしょうか。
 というわけで、乗り入れ先まで行けば、乗り換えは極めて容易です。しかしながら、本稿では、東京メトロの路線内で、この組み合わせで乗り換えを行う方法を考えてみたいと思います。

 まず、日比谷線と半蔵門線ですが、乗り換えるだけなら、人形町ー水天宮前を使うのが便利です。しかしながら、この二駅は同一駅扱いとなっていません。したがって、切符代が余計にかかります。たとえば、小伝馬町から清澄白河までのわずか2.3kmを行くのに、この経路を使うと、320円かかってしまいます。
 その経費が気になる場合、あえて間に一路線をはさんで二回の乗り換えを行う必要があります。まず、日比谷線中目黒方面⇔半蔵門線押上方面ならば、日比谷で千代田線に乗り換え、大手町で半蔵門線に乗り換えるのが便利です。二つの接続駅とも、さほど歩かずに乗り換えが可能です。
 一方日比谷線北千住方面⇔半蔵門線渋谷方面ならば、茅場町で東西線に乗り換え、九段下で半蔵門線に乗り換えるのが便利です。こちらも、両駅でさほど歩かずに乗り換えが可能です。
 なお、日比谷線中目黒方面⇔半蔵門線渋谷方面なら、霞ヶ関で丸ノ内線に乗り換え、赤坂見附・永田町で半蔵門線、などの方策が考えられます。また、日比谷線北千住方面⇔半蔵門線押上方面なら上野で銀座線に乗り換えて、三越前で半蔵門線、といったところでしょうか。いずれもあまり乗り換えが便利とは言えません。

 一方、日比谷線と南北線ですが、こちらには隣接駅もありません。六本木と六本木一丁目は名前こそ似ていますが、双方を歩いて乗り換えるのはかなり面倒です。それにしても、溜池山王のように、両線の交点に新駅を作る、という方法はなぜできなかったのか不思議です。やはり東急線で併走するからいいだろう、という考えだったのでしょうか。
 東京メトロを介した乗り換えですと、霞ヶ関で千代田線に乗り換え、国会議事堂前・溜池山王で南北線、というのがさほど歩かず便利です。後は、東西線で茅場町ー飯田橋を介するか、有楽町線で日比谷・有楽町ー飯田橋を介するくらいが考えられます。ただ、この乗り換えは、東西線の場合は飯田橋で、有楽町線の場合は日比谷・有楽町でかなり歩きます。
 なお、他路線を介しての乗り換えですと、大江戸線を介しての後楽園・春日ー上野御徒町・仲御徒町や、山手線を介しての駒込ー上野などが考えられます。あと、効率は良さそうではありませんが趣がある手段として、三ノ輪-王子を都電荒川線を介して乗換える、という方法も存在します。